技能実習から変更が可能な在留資格

1. 特定活動

本国への帰国が困難な場合
 技能実習が修了し、帰国予定となっているものの、新型コロナウイルスの影響で帰国できなくなっている
 実習生のケースです。
 技能実習自体は修了しているため、技能実習のビザは切れてしまいます。この場合は6か月の「特定活
 」のビザに変更することができます。
 この「特定活動」という在留資格では、就労可能な特定活動と、就労不可の特定活動に分けられます。
 就労可能な特定活動を取得できるのは、技能実習先で行った業務と同じ内容の業務を行う際に
 認められます。
 例えば、建築分野の技能実習を修了した実習生は、同じ建築分野の業務で引き続き働くのであれば、
 就労可能な特定活動の在留資格が得られます。
 期限は6か月とされていますが、新型コロナウイルスの収束は見えず、まだまだ帰国できない事態が
 継続しそうです。
 帰国できない事態が続く場合には、特定活動ビザの更新も可能になっています。

実習先での実習継続が困難な場合
 同じ業務分野であれば、新たな実習先を見つけて、実習を継続することも可能ですが、次を見つける
 のは、なかなか大変です。
 新たな実習先も見つからない場合、特定技能の業務に必要な技能を身につけることを希望するのを条件
 に、最大1年の就労可能な特定活動のビザに変更可能です。
 これは、技能実習を修了して帰国できない実習生も取得できる在留資格で、特定技能ビザを取るための
 在留資格とされています。

まとめ

 新型コロナウイルスの影響で、技能実習生は、帰国困難になったり、実習継続ができなくなっています。
 実習修了したものの、帰国できなかったり、次のステップに移行できない場合は、「特定活動」という在
 留資格に変更できます。実習中と同じ業務であれば、就労可能な「特定活動」も取得できます。
 また、帰国できない状況が続けば、「特定活動」の更新も可能になります。

2.特定技能

 技能実習2号や3号を修了した実習生向けの対策もあります。
特定技能への手続準備中の場合
 特定技能1号への移行を手続きする予定の実習生で、手続きが終了していない場合は、4か月の就労が可能
 な特定活動に変更することができます。

まとめ

 技能実習修了後も特定技能に移行することによって、再雇用が可能になります。さらに、特定技能では受
 入機関の変更が可能なため、元技能実習生を新規に雇用することもできます。転職は外国人労働者が自
 ら行うのはハードルが高く、登録支援機関のサポートが必要になってくるので、転職のリスクは低いで
 す。

3.就労ビザ

 技能実習生の中でもとても優秀な方が、所属していた監理団体や組合などで、技能実習で修得した技能・
 知識などを活かし、そこで在籍している技能実習生を指導する業務に従事することや、技能実習生の入国
 後講習で修得した技能などの講師をする場合には、学歴要件や実務経験要件などを満たす限りにおいては
 技術・人文知識・国際業務等の就労ビザへ変更できる可能性があります。
 技能実習から就労ビザへ変更する場合、次の①・②の要件を満たす必要があります。

 ①申請する活動について下記を満たすこと

 ・契約機関等の事業内容が、監理団体や実習実施者等の技能実習生の受入に関するものであること
 ・技能実習時に修得した技能等について、本国からの技能実習生に対する指導等を行い、
  申請人が技能移転等、母国の経済発展の貢献に資する活動を行うものと認められること
 ・申請人がN2相当以上の日本語能力を有すると認められること※
 ・就業場所における技能実習生の在籍数等からみて、十分な業務量が確保されていると認められ、
  技能実習生と同様の作業を行うものではないことが明らかであること
 ・申請人が技能実習計画上の到達目標を達成していること
 日本語能力はひとつの大きなポイントです。計画的に受験するなどの準備が必要となります。

 ②技能実習申請時の申告内容の変更について合理的説明ができること

  本国での復職予定等の申告内容が事後的に変更された理由が合理的に説明される必要があります。
  つまり、当初日本に入国した際の入国目的と異なることになるので、ウソを言ったのではなく事後的に
  変更されたということを説明する必要があります。
  例えば、「入国当初は帰国して復職する予定だったが、監理団体からの勧めで日本で就職し、技能実習
  で修得した技能を活用する業務に従事することになった」という経緯を合理的に説明する必要が
  あるということです。
  技能実習修了者による「技人国」等の就労資格について、技能実習修了者が帰国後、すぐに日本に呼
  び寄せるために行う「技人国」等での「在留資格認定証明書交付申請についても、
  変更申請と同様に扱われます。

まとめ

 就労ビザの申請は、あくまでもホワイトカラーのお仕事でないと取得ができません。技能実習生として
  行っていた業務を引き続きしてもらいたいと考えていたとしても、基本的には難しいです。

4. 日本人の配偶者

 技能実習からの在留資格変更は原則不可
 技能実習生の増加に伴い、技能実習先(職場)で知り合った技能実習生と日本人が結婚をしたいという
 ケースも増えてきました。そこで問題となるのが、技能実習生と日本人が結婚をする場合、
 日本人の配偶者等(配偶者ビザ)の在留資格の取得が困難であることです。
 理由は主に
  1. 技能実習法の目的(入国管理局が原則許可しない)
  2. 監理団体などからの結婚承諾書の取得の困難性

技能実習生の「日本人の配偶者」ビザ申請必要書類

. 監理団体などの結婚承諾書が必要
 技能実習生は、技能実習に際して監理団体等と「技能実習実施期間中の婚姻を禁止する契約」を
 結んでいることが多く、通常は、特別な事情がなければ実習実施期間中の結婚を承諾してもらうことが
 できません。また、外国大使館等で婚姻要件具備証明書を取得する際に、監理団体等が発行した婚姻許可
 証や承諾書を求められることもあるほか、在留資格変更申請に際して入国管理局でもそれらの結婚承諾書
 等は必要書類として求められます。
 したがって、技能実習生と結婚をして日本人の配偶者等の在留資格へ変更しようとする場合、監理団体等
 からの婚姻許可証や承諾書の取得が必要となりますが、技能実習の目的や関係当事者間の契約その他運用
 に支障をきたすこととなるため、特別な理由がない限り、監理団体等から婚姻許可証・承諾証を発行して
 もらうことは難しいといえます。

2. 一旦帰国して改めて呼び寄せる(認定申請)
 一旦帰国したうえで、在留資格認定証明書交付申請で改めて呼び戻すこととなります。
 その場合、合理的な理由のもと技能実習の途中で帰国しても良いですし、原則通り技能実習の期間を
 満了した後に帰国し、日本人の配偶者等の在留資格を申請することもできます。在留審査には後者の
 方が良いです。
 しかしながら、技能実習生が日本人と結婚をする場合、技能実習生がいったん帰国をしたとしても、
 すぐに呼び寄せて結婚しようとする場合には、単に経済的な理由で日本に居続けたい、
 または、日本での就労を目的とした真性の結婚でない場合(偽装結婚)も実際に多く、
 入国管理局もそれらの可能性を疑うため、その審査はとても厳しいものとなります。
 通常の申請書類に加えて日本人の配偶者の家族による嘆願や実習先所属長などが作成した
 上申書などを提出することもあります。
 技能実習生の場合、過去に入国管理局へ申告した内容が今般の申請内容と相違し、申請内容に疑義
 ありとして不許可になる事例が見受けられます。これは技能実習生の過去の入国管理局への申請書類を
 送出機関や監理組合などの第三者が作成し、事実と異なる申告がなされている事も多いためです。

まとめ

技能実習終了後に一旦母国に帰国し、その後日本人配偶者が入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を行い、概ね2ヶ月で在留資格認定証明書が交付されます。
その後、認定証明書を外国人配偶者に送り、外国の大使館等でビザ申請をして入国する流れとなります。
※技能実習期間中の「日本人の配偶者」ビザの取得は認められません。
※その後認定証明書を取得して呼び寄せる事は可能です。

アジア国際事業協同組合は東京の監理団体で、主に関東圏の技能実習生の採用からサポートまでの監査業務を行っております。技能実習生を採用する企業様も日本に来る技能実習生も安心して従事できるよう、
全力で取り組んでおります!