『特定技能所属機関(受入れ機関)』と『登録支援機関』の要件

登録支援機関の要件

出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。技能実習制度における監理団体は非営利団体(事業協同組合、商工会など)のみ許可されていましたが、登録支援機関は個人や営利団体(株式会社のような民間企業など)も登録が可能です。技能実習の監理団体、職業紹介など人材関連事業者、弁護士や行政書士などの士業が主に想定されていますが、登録要件を満たせば申請可能なため、新規参入も含めて多様な主体が考えられます。
登録支援機関の登録を受けるためには、「機関自体が適切」であることと「外国人を支援する体制がある」ことが求められます。主な要件は以下です。なお、支援責任者と支援担当者の要件ついては、共通点と相違点があるため、よく注意して検討する必要があります。

  1. 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること(支援担当者は支援業務を行う事業所ごとに1名以上。支援責任者と支援担当者は兼任可。支援責任者は常勤でなくともよい。支援担当者は常勤が望まれる)
  2. 支援責任者又は支援担当者が、次に該当しないこと(中立性・適正性確保のため)
    • 受入れ機関の役員の配偶者、2親等内の親族その他受入れ機関の役員と社会生活において密接な関係を有する支援責任者
    • 過去5年間に受入れ機関の役員又は職員であった支援責任者
    • 法第29条の26第1項第1号から第11号までの登録拒否事由のいずれかに該当する支援責任者又は支援担当者
  3. 次のいずれかに該当すること
    • 登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に中長期在留者(就労資格に限る)の受入れ又は管理の実績があること
    • 登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること(主に弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士といった士業者などを想定。業務として行ったことが必要なため、無償のボランティアなどは含まない)
    • 選任された支援責任者及び支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者(就労資格に限る)の生活相談業務に従事した経験を有すること(業務として行ったことが必要なため、無償のボランティアなどは含まない)
    • 上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること(主に上場企業、大企業、業界団体、公的法人、特定非営利法人などを想定)
  4. 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
  5. 刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと
  6. 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないこと
  7. 支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
  8. 外国人が十分理解できる言語で情報提供等の支援を実施することができる体制を有していること(必ずしも常勤の通訳が居る必要はない)
  9. 支援状況に関する帳簿書類を作成し、1年以上備えて置くこと
  10. 支援委託契約を締結するに当たり、受入れ機関に対し、支援業務に要する費用の額及びその内訳を示すこと

特定技能所属機関(受入れ機関)の要件

「特定技能所属機関」に対しては、特定技能外国人の雇入れを適切に行っていくことが当然に求められま
す。故に特定技能所属機関として特定技能外国人を受け入れるための基準が省令(特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令)等において、詳細に定められています。まずは、どのような基準をクリアする必要があるのかを理解しましょう。

特定技能所属機関となるための基準を大きく分けています。

A. 特定技能所属機関自体が適切である事。
B. 特定技能外国人と結ぶ雇用契約が適切である事。
C. 特定技能外国人への支援体制と支援計画が適切である事。
上記の3つに分類することができます。以下では、3つに分類された基準の主要部分の中身を見ていきたいと思います。(※一部内容を簡略化及び省略しています。詳細は省令をご確認ください)

A.特定技能所属機関自体が適切である事

当然のことですが、しっかり法令等を遵守している会社でなければ、特定技能外国人を受け入れることはできませんという事です。下記項目を貴社に当てはめてみてください。すべてに該当していれば、特定技能所属機関となりうる可能性が高まります。

  1. 労働保険料・社会保険料・税金はしっかり納付済みである事
  2. 1年以内に非自発的離職者を発生させていない事
  3. 1年以内に外国人の行方不明者を発生させていない事
  4. 5年以内に入管法及び労働法令等における法令違反がない事
  5. 5年以内に技能実習を取り消されていない事
  6. 役員等の行為能力や適格性に問題がない事
  7. 債務超過になっていない事
  8. 保証金の徴収や違約金の徴収を求めていない事
  9. 支援に要する費用に関して、費用負担をさせない事
  10. 労災保険の保険関係成立がなされている事

B.特定技能外国人と結ぶ雇用契約が適切である事

特定技能所属機関として特定技能外国人と雇用契約を結ぶうえで、当然のことながら労働法令の遵守は必須です。プラス特定技能独自の上乗せ条件を満たしている必要があります。下記項目を貴社が結ぶ予定の雇用契約と見比べてみてください。すべてに該当していれば、貴社が特定技能所属機関となりうる可能性が高まります。

  1. 相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事させる事
  2. 労働時間は通常の労働者の所定労働時間と同等である事
  3. 日本人と同等以上の報酬額を設定している事
  4. 一時帰国を希望した際は必要な有給休暇を取得させる事
  5. 本人が帰国旅費を負担できない場合に補助する事
  6. 定期健康診断を受診させる事
  7. 報酬支払方法は口座振り込みになっている事

C.特定技能外国人への支援体制と支援計画が適切である事

1号特定技能外国人を雇い入れる場合、特定技能所属機関は、当該外国人に対して、職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を行う必要があります。この支援を行える体制がしっかり整っている会社であり、かつ支援計画の内容も適切なものでないと1号特定技能外国人を雇い入れることはできません。下記支援項目を貴社が行う事ができるか確認してみてください。すべてに該当していれば、貴社が特定技能所属機関となりうる可能性が高まります。ちなみにこれらの支援等に関しては、登録支援機関へ支援の全部を委託することで満たすことは可能です。

  1. 外国人が十分に理解できる言語で支援を行う事
  2. 1号特定技能外国人支援計画が作成されている事
  3. 事前ガイダンスを実施している事
  4. 出入国時に空港等への送迎をする事
  5. 外国人の住居確保に係る支援をする事
  6. 外国人の入国後に適切な情報提供を行う事
  7. 生活に必要な契約に関する支援を行う事
  8. 日本語学習の機会を提供する事
  9. 日本人との交流促進を行う事
  10. 非自発的離職時に転職支援を行う事
  11. 過去2年間に中長期在留者等(就労系資格に限る)の受入れ経験等がある事

アジア国際事業協同組合は東京の監理団体で、主に関東圏の技能実習生の採用からサポートまでの監査業務を行っております。技能実習生を採用する企業様も日本に来る技能実習生も安心して従事できるよう、全力で取り組んでおります!